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図書館は「魔法のツエ」。伝説の新聞投稿をコピーしてきた
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先週、図書館講演のスライドに、上の写真を追加した。
ごぞんじ(?)「魔法のツエ」投稿である。
49年前の1969年11月24日朝日新聞に掲載されたもので、
『図書館の誕生――ドキュメント日野市立図書館の20年』
(関千枝子/日本図書館協会)でも触れられている。
朝日の縮刷版から拡大スキャンしてきた。
※著作権的に全文掲載はヤバそうなので部分抜粋

なぜこんな半世紀も前の文章をいま紹介するのか?
ひとことで言えば「日本の図書館」を象徴する文章だからだ。
課題解決です、ビジネス支援です、サードプレイスです、という前に、
「なぜ日本の図書館はこんなふうになったのか」
を理解してもらう必要がある。
そうでないと、今の図書館が「何をしているのか」はわかっても、
「なんのためにしているのか」はわからない。

図書館運動の文献はたくさんあるが、
利用者の目線で書かれたものは少ない。
この投稿では、日本の図書館の姿を決定づけた
日野市立図書館のサービスとその感動が生き生きと語られる。
カウンターの中の人には書けない名文だ。

この投稿は、じつは同月19日の読者投稿を受けたもの。
下の「童話本はお子様値段に」に対するアンサー投稿である。
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子供の本の値段が高い、と主張する投稿者の声は、
「魔法使いのおばあさんから、魔法のツエでも借りてきて、
世界中の童話の本の値段を、みんな百円に、
いいえタダに書換えてしまいたい私です」
と締めくくられる。
これを読んだ日野市の主婦が、
「私たちの住む日野市にはその魔法のツエがあります」
と自慢する。図書館人が泣いて喜ぶ話である。

そんな主婦が語る図書館利用の中身は、
貸出重視・児童サービス・全域サービス
という、ザ・市民の図書館。
戦後の図書館利用者の典型、いや理想像といっていい。
「貸出重視」が大成功したのも、
このような利用者がたくさんいたからだ。
サービスの提供側と利用側の歯車がガッチリ噛み合った結果である。

と、こういう歴史を踏まえないと、いくら、
「図書館は本を貸すだけではない」
とくり返したところで、
「ま、確かにいろんな使い方あるよね」
といった話にしか聞こえないのではないかと心配している。

かつて、図書館と利用者のあいだにはこんな幸福な関係があった。
一方、今はどうだろう?
いまの図書館と利用者は「噛み合っている」だろうか。

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by okuno0904 | 2018-02-02 18:08 | 図書館 | Comments(0)
   

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