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公共図書館の研修会で講師をしました
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大阪公共図書館協会の研修で講師をしてきました。
『図書館「超」活用術』を読んでくれた
地元・堺の図書館員の方が、
「ぜひ図書館員向けの話を」と。

そんなわけで、同書の企画趣旨と執筆時に込めた意図、
利用者として公共図書館に言いたいこと、
利用促進のためにどうすればいいいか
など、好き放題に話をさせてもらいました。

「図書館での講演」は何度もやっているけれど、
「図書館員向けの講演」は初めてです。
専門職の前で話すのはプレッシャーだなぁ~
と思いつつも、非常に楽しい時間でした。

主催の大阪府公共図書館協会というのは
府下の公共図書館員でつくる勉強会です。
当日は40人を超える図書館員が参加。
会場の大阪市立中央図書館の研修室は
なかなかすごい熱気に包まれていました。

ちょっと舌足らずでしたが、
最終的に言いたかったことは、
「図書館はちゃんと“対世間”をやれ」
ということです。

サービスをきちんとやることはもちろん最重要ですが、
それだけでも、ジリ貧の流れは避けられない
そこで、もっと幅広い利用者を取り込み、
サービスを強化していくためにも
図書館はもっと“メジャー感”を
出していく必要があります。

たまにテレビに取り上げられても、
どこかマイナーさの再確認のような感じです。
図書館の「とっつきにくさ」が、
不思議と魅力になっていることは僕も認めますが、
そんな心地よいマイナーさからは、
いつか脱しなければなりません。
図書館はメジャーになって当然なのです。

もっと世間に関わり、
「図書館はなんでもできる、すごいところだ」
といったイメージをふりまいていかないと。
逆に言うと、こういうイメージ戦略がないから
「本に囲まれてコーヒーが飲めます」
みたいな話になってしまうわけです。

図書館に限らず、
出版でも書店でもそうですが、
「幻想」が大事なんですよ。

と、こんな話でした
(つい長くなってしまった……)。

大阪公共図書館協会のみなさま、ご来場のみなさま、
貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

by okuno0904 | 2016-07-01 09:38 | 活動報告(事後) | Comments(0)
「図書館のせいで本が売れない」は本当か――『図書館「超」活用術』で考えたこと
『図書館「超」活用術』絶賛発売中です。
ネット上には、こんな記事も出ました。
ネット検索で済ませていませんか? これからの時代を生き抜くには図書館を利用しろ

大阪でも先週、書店で売られているのを確認。
実際に本があるのを見て安心しました。

いや、これから売れるようにPRしなきゃならないわけで、
安心している場合じゃないんですけど、

自分の書いた文章が「紙の本」という実体を持ったこと、
そしてそれが実際に書店に並ぶところまでこぎ着けたということが、
も・の・す・ご・く
ほっとするんですよね。

本を書く作業って、
原稿用紙を積み上げていた昔と違って
今はほとんどデータをいじってるだけですからね。
机にかじりついていてもテキストデータの文字数が増えるくらいで
なんというか「生み出している感じ」があまりない。

そんなわけで本が出ると
「しこしこキーボードを打っていたあの時間は無駄ではなかった……」
と、しみじみ思うわけです。

 ☆

さて、思い返せば、本書は難産でした
(と本を出すたびに書いている気がしますが)。
はじめ企画書を出したときは、いろんな人に、
「こんなの絶対ダメ。書店が怒る」
と言われたものです。
「図書館を活用したら本が売れなくなる」
「そんな趣旨の本を売りたい本屋はいない」
「出版社は書店が売りたがらない本を出さない」
というわけです。

出版界にこういう声が多いことは、いちおう知ってはいました。
しかし、司書講座を受けてみたり、図書館の勉強会に出たりしているうちに、
すっかり“図書館アタマ”になっていた私は、衝撃を受けました。
「ああ、そう思う人ってやっぱり多いのか!」と。

図書館の利用が伸びると本が売れなくなるのか。
過去には日本図書館協会と出版社の団体との共同調査もありましたが、
もう10年以上も前の話で、図書館数の増加やオンライン予約の普及など、
「当時と今ではぜんぜん状況が違う」という人もいます。
現状では、はっきり「ある」とも「ない」とも言えません。
ある程度、説得力のある論はありますが、
「みんな納得する結論」は出ないでしょう。

たしかに世の中には、ある本を
「貸出されていなければ買っていた」という人がいるでしょう。
「機会利益の損失」というか、出版社の感覚ではマイナスです。
著者も利益を逃したことになります。

しかし一方で、こうも思うのです。
ただ仮に、ある本を「図書館で読むから買わない」という人がいたとして、
それはべつに悪いことじゃないだろう。
誰かが不愉快になるような話だろうか、と。

 ☆

ぱらっと読むだけでいいから図書館で借りる。
仕事のために参照するだけだから図書館で借りる。
それほどファンでもないから図書館で借りる。
お金がないから、場所がないから図書館で借りる。

これって、ごく普通のことじゃないでしょうか。
むしろこれは図書館の基本と言っていい使い方です

そもそも貴族でも資産家でもなく、蔵書をもっていない人であっても、
大量の文献にアクセスして自由にものを考えられるようにするため、
税金で図書館というものを作ったわけですから。
いわば、図書館というのは市民が金を出し合って作った「シェア書斎」であり、
図書館の本は「自分(たち)で買った本」なのです。

それを利用するのに、何の負い目も感じなくていい。
むしろ、もっと使わないと税金がもったいないと思うくらいです。
本にも書きましたが「図書館は使い倒してナンボ」です。

いま、なかなか本が売れない。
それは確かですが、私はそれほど嘆き悲しむようなことだとは思いません、
そもそも、著述や出版というのはカネとは縁が薄い世界です。
「出版で金持ちになろうと思うのは、水を求めて砂漠に行くようなものだ」
という出版関係者のツイートを前に見ました。
金持ちになりたいなら、投資ファンドとかやった方がいいです。

 ☆

話を戻しましょう。
「図書館を活用すると本が売れなくなる」
という声にどう答えるか。

私は、図書館の利用者数や貸出の増加に加えて
人々がもっと大量の文献を活用するようになれば、
状況は一変するのではないか、と考えています。
単純な話で、
―――――――――――
図書館利用者が増える
    ↓
図書館に予算が付く
    ↓
図書館がもっと本を買う(本が売れる)
    ↓
さらに利用者が増える
―――――――――――

このようにして「読書人口」つまり、
世間の日常的に本を読む人の割合が増えれば、
―――――――――――
貸出だけでなく本を「買う」ようになる
   ↓
出版社が儲かる
   ↓
いいスタッフをそろえられる 
   ↓
書き手を発掘・育成できる
   ↓
いい本ができる
   ↓
さらに本が売れるようになる
   ↓
読み手(将来の書き手)が育つ
―――――――――――
という循環も可能だと思うのです。

やや「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話ですが、
まるっきり素っ頓狂でもないと思っています。

 ☆

ちょっと不安を感じるのは
「図書館でよく本を借りる人はよく買ようになるのか?」
という点です。
自分の周囲を見る限り、
「よく本を借りる人はよく本を買う」
と言えるものの。
「本を家に置きたいとは一切思わない」
という人がいてもおかしくはない。

ただ、図書館の本が常に貸出可能とは限らないし、
新刊を一刻も早く読みたいというケースもあるでしょう。

そんなわけで普通に考えれば、「買わない派」でも月に1冊くらいは、
買うことになるのではないでしょうか?
「年に2、3冊」の人が「月に1冊」になる。
本をほとんど読まない人が多い昨今だけに、
このインパクトはデカいはずです。

このサイクルを生むためには、出版社も、
「1冊で終わり」にならない本、
関連書をどんどん読みたくなるような魅力ある本を作らねばなりません。
好奇心や探求心に火をつける本、
言ってしまえば「麻薬のような本」です。
これは書き手が負うところが大ですね。精進しなければ!

 ☆

ここで結論めいたことを言えば、
図書館は書店や出版社の敵でもライバルでもなく、同志だと思ってほしいということです。
ただ、役割が違うだけです。
出版社、著者はいい本をつくるのが仕事。
書店は、客が求める本を仕入れて売るのが仕事。
そして図書館は、読み手を増やす、「もっと読みたい」と思わせるのが仕事です。

考えてみれば、
「読まない人を読む人にする」
というのは、図書館にしかできないことではないでしょうか?
出版社や書店は、本に興味がある人に
「この小説はオススメですよ」
というようなことには熱心ですが、
「本は読まないんですよ」という人に「いや、読むべきです!」
と押しつけていくような志向性はありません。

対して、図書館の考え方は、極論すれば、
「すべての人間は本を読まねばならない」
というものです。
このような(やや押しつけがましい)思想で組織的に活動しているのは
この世で図書館くらいでしょう。
「人間の社会は読書によって支えられている」と。
まあ、ここまで思い詰めているかはさておき、
とにかく「すべての人間に本を読んでもらおう」と
児童や障害者をはじめ、あらゆる人にサービスし、
「読め、読め」と言い続けているわけです。

私は日本の図書館を手放しで褒めているわけではありませんが、
サービスも施設も、人も、全体としていい方向に向かっているとは思います。
少ない予算にも関わらず、頑張りすぎなのでは? と不安になるくらいです。
アメリカの公共図書館について書かれた『未来をつくる図書館』などを読むと、
まだまだ、とは思うけれど、お国柄もありますからね。

図書館は、農地を開拓するように
「読まない人」を「読む人」にする活動をしており、
出版社はその「農地」で商売をすればいい。

と、いうのは夢想しすぎでしょうか。
いや、図書館ならひょっとして、
図書館が歴史上、果たしてきた役割を考えれば、
これくらいのことはできても何の不思議もない、と思うのです。
by okuno0904 | 2016-03-16 09:31 | 図書館 | Comments(0)
   

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