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カテゴリ:図書館( 4 )
図書館で「読書離れ」について考えた
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人口減少やら格差の拡大やらを論じた新書のなかに
近ごろ気になっているものが2、3冊あったので、
大学図書館に行ったついでに探してみた。

かなり売れてるらしいから、
貸出中ってこともありえる……
と思っていたものの、すべて書架にあった。

この大学図書館の蔵書は、
一番最後のページに紙が貼ってあり、
返却日がハンコで押されている。
見ると、貸出は半年ほど前の新刊で1、2回。
2カ月前に出た本はまだ一度も貸し出しされていなかった。

帰宅後、ふと気になって、
それらのタイトルを地元の公共図書館で検索してみた。
――予約数141件。
ああ、やっぱり!

予約140件って、一体いつ読めるんだ?
ただ7冊あるらしいから(複本という)、
予約は1冊あたり20件。
貸出期間の2週間×20回は、40週間だから、
最短でも10カ月。
返却期限前に返す人や
機嫌をオーバーする人がいれば話は別だが、
まあ、1年近くかかるだろう。
いま予約しても読めるのは2019年。
それってどうなの?

ベストセラーに殺到する予約に対して、
文庫や新書くらい買って読め、という声はよくある。
しかし、筆者はこの言葉にずっと違和感を持っている。

というのも、この説は、
「読みたいが、カネがない(出したくない)」
という人を想定しているが、
果たしてそうだろうか?
こういう予約をする人は本当に「読みたい」のか?
と思わざるを得ないのだ。
なんつったって、おまえ、1年後やぞ?
いくら気の長い人でも、
「読みたい」本を待つ期間としては長すぎる。

10や20件ならギリギリわからなくもないけれど、
100も200も予約されている本に、
さらに予約を入れる。
こういう人は、きっと心の底ではその本を、
「さほど読みたくない」
のだと思う。

だから、こういう人に「買って読め」と言っても意味がない。
「読みたくない」本を買うわけがないからだ。
ではなぜ「読みたくない」のに、
気の遠くなるような先の貸出予約を入れるのか。
きっとこれだろう。
「読みたい(ような気がする)」
まあ、そう思い込むのは自由だし、
図書館の貸し出しも増えるから、
それでいいんじゃない?
と言っておこう。

もし賃金が上がっていたり、
将来を楽観視できるような世の中であれば、
売れてる本や話題の本を
「読みたい(ような気がする)」
とポンポン買うケースもあるんだろうけどねぇ……。
出版不況ウンヌンと言われる前の時代って、
要は見栄や流行で「読みたくない」本でも
買っちゃう人がたくさんいた時代だったんじゃないのかな。

それにしても、
大学図書館と公共図書館との
このギャップである。

やはり、というべきか、
本を読まない大学生は増えているらしい。
全国大学生協連の発表(2/26)によると、
全国の大学生のうち「1日の読書時間がゼロ」が
53%を占めたという。
半数超えは2004年、調査項目に「読書時間」を入れて以来初めて。

なぜ大学生は本を読まなくなったのか。
「若者の○○離れ」の原因としてよく言われるように
「本を買うカネがないから」なのか?
まさか。
「カネがないから読めない」なら、
大学図書館はもっと活用されているはずだ。
学生は無料であっても読まない。
「読みたくないから読まない」といのが
正解だろう。残念ながら。
要は魅力がないのである。

本は読むべきか。まあ読んで損はないだろう。
人の営為の中でもかなり「歩留まり」のいい方だ。
建物を立てたり、会社を作ったりするよりいいかもしれない。

だからといって積極的に本を勧めるかというと話は別だ。
「本好き」の狭量さもよく知ってるしね。
天邪鬼だから逆に
「死ぬまでスマホ見てればいいよ」
とか言いたくなってしまう。
と、「それではいかんのだ!」ともう一人の自分が言う。

どう考えても、未来は危うい。


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by okuno0904 | 2018-03-09 11:06 | 図書館 | Comments(0)
図書館は「魔法のツエ」。伝説の新聞投稿をコピーしてきた
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先週、図書館講演のスライドに、上の写真を追加した。
ごぞんじ(?)「魔法のツエ」投稿である。
49年前の1969年11月24日朝日新聞に掲載されたもので、
『図書館の誕生――ドキュメント日野市立図書館の20年』
(関千枝子/日本図書館協会)でも触れられている。
朝日の縮刷版から拡大スキャンしてきた。
※著作権的に全文掲載はヤバそうなので部分抜粋

なぜこんな半世紀も前の文章をいま紹介するのか?
ひとことで言えば「日本の図書館」を象徴する文章だからだ。
課題解決です、ビジネス支援です、サードプレイスです、という前に、
「なぜ日本の図書館はこんなふうになったのか」
を理解してもらう必要がある。
そうでないと、今の図書館が「何をしているのか」はわかっても、
「なんのためにしているのか」はわからない。

図書館運動の文献はたくさんあるが、
利用者の目線で書かれたものは少ない。
この投稿では、日本の図書館の姿を決定づけた
日野市立図書館のサービスとその感動が生き生きと語られる。
カウンターの中の人には書けない名文だ。

この投稿は、じつは同月19日の読者投稿を受けたもの。
下の「童話本はお子様値段に」に対するアンサー投稿である。
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子供の本の値段が高い、と主張する投稿者の声は、
「魔法使いのおばあさんから、魔法のツエでも借りてきて、
世界中の童話の本の値段を、みんな百円に、
いいえタダに書換えてしまいたい私です」
と締めくくられる。
これを読んだ日野市の主婦が、
「私たちの住む日野市にはその魔法のツエがあります」
と自慢する。図書館人が泣いて喜ぶ話である。

そんな主婦が語る図書館利用の中身は、
貸出重視・児童サービス・全域サービス
という、ザ・市民の図書館。
戦後の図書館利用者の典型、いや理想像といっていい。
「貸出重視」が大成功したのも、
このような利用者がたくさんいたからだ。
サービスの提供側と利用側の歯車がガッチリ噛み合った結果である。

と、こういう歴史を踏まえないと、いくら、
「図書館は本を貸すだけではない」
とくり返したところで、
「ま、確かにいろんな使い方あるよね」
といった話にしか聞こえないのではないかと心配している。

かつて、図書館と利用者のあいだにはこんな幸福な関係があった。
一方、今はどうだろう?
いまの図書館と利用者は「噛み合っている」だろうか。

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by okuno0904 | 2018-02-02 18:08 | 図書館 | Comments(0)
「図書館のせいで本が売れない」は本当か――『図書館「超」活用術』で考えたこと
『図書館「超」活用術』絶賛発売中です。
ネット上には、こんな記事も出ました。
ネット検索で済ませていませんか? これからの時代を生き抜くには図書館を利用しろ

大阪でも先週、書店で売られているのを確認。
実際に本があるのを見て安心しました。

いや、これから売れるようにPRしなきゃならないわけで、
安心している場合じゃないんですけど、

自分の書いた文章が「紙の本」という実体を持ったこと、
そしてそれが実際に書店に並ぶところまでこぎ着けたということが、
も・の・す・ご・く
ほっとするんですよね。

本を書く作業って、
原稿用紙を積み上げていた昔と違って
今はほとんどデータをいじってるだけですからね。
机にかじりついていてもテキストデータの文字数が増えるくらいで
なんというか「生み出している感じ」があまりない。

そんなわけで本が出ると
「しこしこキーボードを打っていたあの時間は無駄ではなかった……」
と、しみじみ思うわけです。

 ☆

さて、思い返せば、本書は難産でした
(と本を出すたびに書いている気がしますが)。
はじめ企画書を出したときは、いろんな人に、
「こんなの絶対ダメ。書店が怒る」
と言われたものです。
「図書館を活用したら本が売れなくなる」
「そんな趣旨の本を売りたい本屋はいない」
「出版社は書店が売りたがらない本を出さない」
というわけです。

出版界にこういう声が多いことは、いちおう知ってはいました。
しかし、司書講座を受けてみたり、図書館の勉強会に出たりしているうちに、
すっかり“図書館アタマ”になっていた私は、衝撃を受けました。
「ああ、そう思う人ってやっぱり多いのか!」と。

図書館の利用が伸びると本が売れなくなるのか。
過去には日本図書館協会と出版社の団体との共同調査もありましたが、
もう10年以上も前の話で、図書館数の増加やオンライン予約の普及など、
「当時と今ではぜんぜん状況が違う」という人もいます。
現状では、はっきり「ある」とも「ない」とも言えません。
ある程度、説得力のある論はありますが、
「みんな納得する結論」は出ないでしょう。

たしかに世の中には、ある本を
「貸出されていなければ買っていた」という人がいるでしょう。
「機会利益の損失」というか、出版社の感覚ではマイナスです。
著者も利益を逃したことになります。

しかし一方で、こうも思うのです。
ただ仮に、ある本を「図書館で読むから買わない」という人がいたとして、
それはべつに悪いことじゃないだろう。
誰かが不愉快になるような話だろうか、と。

 ☆

ぱらっと読むだけでいいから図書館で借りる。
仕事のために参照するだけだから図書館で借りる。
それほどファンでもないから図書館で借りる。
お金がないから、場所がないから図書館で借りる。

これって、ごく普通のことじゃないでしょうか。
むしろこれは図書館の基本と言っていい使い方です

そもそも貴族でも資産家でもなく、蔵書をもっていない人であっても、
大量の文献にアクセスして自由にものを考えられるようにするため、
税金で図書館というものを作ったわけですから。
いわば、図書館というのは市民が金を出し合って作った「シェア書斎」であり、
図書館の本は「自分(たち)で買った本」なのです。

それを利用するのに、何の負い目も感じなくていい。
むしろ、もっと使わないと税金がもったいないと思うくらいです。
本にも書きましたが「図書館は使い倒してナンボ」です。

いま、なかなか本が売れない。
それは確かですが、私はそれほど嘆き悲しむようなことだとは思いません、
そもそも、著述や出版というのはカネとは縁が薄い世界です。
「出版で金持ちになろうと思うのは、水を求めて砂漠に行くようなものだ」
という出版関係者のツイートを前に見ました。
金持ちになりたいなら、投資ファンドとかやった方がいいです。

 ☆

話を戻しましょう。
「図書館を活用すると本が売れなくなる」
という声にどう答えるか。

私は、図書館の利用者数や貸出の増加に加えて
人々がもっと大量の文献を活用するようになれば、
状況は一変するのではないか、と考えています。
単純な話で、
―――――――――――
図書館利用者が増える
    ↓
図書館に予算が付く
    ↓
図書館がもっと本を買う(本が売れる)
    ↓
さらに利用者が増える
―――――――――――

このようにして「読書人口」つまり、
世間の日常的に本を読む人の割合が増えれば、
―――――――――――
貸出だけでなく本を「買う」ようになる
   ↓
出版社が儲かる
   ↓
いいスタッフをそろえられる 
   ↓
書き手を発掘・育成できる
   ↓
いい本ができる
   ↓
さらに本が売れるようになる
   ↓
読み手(将来の書き手)が育つ
―――――――――――
という循環も可能だと思うのです。

やや「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいな話ですが、
まるっきり素っ頓狂でもないと思っています。

 ☆

ちょっと不安を感じるのは
「図書館でよく本を借りる人はよく買ようになるのか?」
という点です。
自分の周囲を見る限り、
「よく本を借りる人はよく本を買う」
と言えるものの。
「本を家に置きたいとは一切思わない」
という人がいてもおかしくはない。

ただ、図書館の本が常に貸出可能とは限らないし、
新刊を一刻も早く読みたいというケースもあるでしょう。

そんなわけで普通に考えれば、「買わない派」でも月に1冊くらいは、
買うことになるのではないでしょうか?
「年に2、3冊」の人が「月に1冊」になる。
本をほとんど読まない人が多い昨今だけに、
このインパクトはデカいはずです。

このサイクルを生むためには、出版社も、
「1冊で終わり」にならない本、
関連書をどんどん読みたくなるような魅力ある本を作らねばなりません。
好奇心や探求心に火をつける本、
言ってしまえば「麻薬のような本」です。
これは書き手が負うところが大ですね。精進しなければ!

 ☆

ここで結論めいたことを言えば、
図書館は書店や出版社の敵でもライバルでもなく、同志だと思ってほしいということです。
ただ、役割が違うだけです。
出版社、著者はいい本をつくるのが仕事。
書店は、客が求める本を仕入れて売るのが仕事。
そして図書館は、読み手を増やす、「もっと読みたい」と思わせるのが仕事です。

考えてみれば、
「読まない人を読む人にする」
というのは、図書館にしかできないことではないでしょうか?
出版社や書店は、本に興味がある人に
「この小説はオススメですよ」
というようなことには熱心ですが、
「本は読まないんですよ」という人に「いや、読むべきです!」
と押しつけていくような志向性はありません。

対して、図書館の考え方は、極論すれば、
「すべての人間は本を読まねばならない」
というものです。
このような(やや押しつけがましい)思想で組織的に活動しているのは
この世で図書館くらいでしょう。
「人間の社会は読書によって支えられている」と。
まあ、ここまで思い詰めているかはさておき、
とにかく「すべての人間に本を読んでもらおう」と
児童や障害者をはじめ、あらゆる人にサービスし、
「読め、読め」と言い続けているわけです。

私は日本の図書館を手放しで褒めているわけではありませんが、
サービスも施設も、人も、全体としていい方向に向かっているとは思います。
少ない予算にも関わらず、頑張りすぎなのでは? と不安になるくらいです。
アメリカの公共図書館について書かれた『未来をつくる図書館』などを読むと、
まだまだ、とは思うけれど、お国柄もありますからね。

図書館は、農地を開拓するように
「読まない人」を「読む人」にする活動をしており、
出版社はその「農地」で商売をすればいい。

と、いうのは夢想しすぎでしょうか。
いや、図書館ならひょっとして、
図書館が歴史上、果たしてきた役割を考えれば、
これくらいのことはできても何の不思議もない、と思うのです。
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by okuno0904 | 2016-03-16 09:31 | 図書館 | Comments(0)
【新刊】『図書館「超」活用術』 3/7(月)発売
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奥野の新刊が出ます!
『図書館「超」活用術』
朝日新聞出版より。1300円+税です。
3/7(月)発売ですが、3/3配本と聞いているので、
都心ではやや早く店頭に出るかもしれません。
地方も10日には行き渡っているんじゃないかと。

今回のテーマは図書館です。
仕事をはじめ、日々の生活をよりよくするために
図書館が使えますよ! という内容(おおッ、なんてシンプルなんだ!)。

「でも図書館って難しいでしょ……」
という人も多いでしょう、でも、
安心してください、書いてますよ!
初心者でもすぐ使えるノウハウを並べました。

実は図書館には、すごいポテンシャルがあるんです。
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こんなピカピカ最新鋭の図書館から(写真=富山市立図書館)
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こんな地域で長く愛される図書館まで(写真=浦添市立図書館)
身近にある図書館を使えば、
もっと「力」をもらうことができる。
そんな話を書いています。

けっこう知恵を絞りました、自信作です。
ぜひ、書店で手に取ってみてください!
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by okuno0904 | 2016-02-29 10:33 | 図書館 | Comments(0)
   

著作家・ライター奥野宣之の公式ブログ。新刊『諭吉に訊け!』(光文社)『図書館「超」活用術』(朝日新聞出版)発売中! プロフィール、連絡先、などは右メニュー「カテゴリ」からどうぞ!
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