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> 「国語力」はいったい誰が教えるのか?
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『22歳からの国語力』(講談社現代新書)という本を献本いただきまして、最近やっと読みました(遅くなってすいません)。

 基本的には、新社会人や就活中の学生さんをターゲットにした本です。しかし、読む・書く・話すときのの心得集として、僕も含めて、誰にでも得るところはあります。

 著者の川辺さんは元編集者なので、書き手の視点に加えて、本の作り手としての視点がたくさん含まれているのが特徴です。

 普通の文章なら、わかりやすく誤解が起きないように伝われば、それでOKです。しかし、それに加えて、編集者は「どうすればウケるか」「どうすれば人に『おや?』と思わせるか」を常に考えなければなりません。

 その点、プレゼンやビジネスレターで「どうすれば、受け手の心を動かせるか」と常に考えているビジネスマンにとっては、学生以上に響く部分があるでしょう。このような観点からすれば、本書は、野口悠紀雄さんの『超文章法』(中公新書)の敷居を下げた感じ、とも言えます。

 ビジネス系の文章術や小説家の文章読本はよくあります。しかし、小説家志望でもないごく普通の人向けに、読み書きの基本を指南してくれる本はなかなかありません。

 社会人で、文章を書いたり、読んだりするスキルに興味のある人は、退屈な「ビジネス文書の書き方」の類を読むより、この本を開いてみた方が、きっとヒントが得られるし、モチベーションが上がっていいと思います。

 ところで、僕は、読み終わってから、ずっと「国語力」という言葉がテーマが、引っかかっています。

 というのも、「文章術」や「読書術」の本はたくさんあっても、これまで「国語力」という切り口の本はほとんどなかったような気がするからです。タイトルに「国語」が入る本って、保守系論客の本くらいじゃないでしょうか。

 社会人で「英語」を勉強している人はたくさんいるのに、「国語」を勉強している人は見たことがありません。理科や算数も同じようなものですが、少なくとも、サイエンスならビギナー向け科学啓蒙書や講談社ブルーバックス、「日経サイエンス」、「ニュートン」といった趣味人向けの本がたくさんある。

 書類を作ったり文献に当たるのに限らず、ウェブで大量のテキストに目を通したり、メールやブログを書いたりすることも多い時代です。「読む」「書く」能力がより重要になっていることは間違いない。

 でも、その能力を身につけさせてくれる専門家はどこにもいません。

 学校の国語教育では、ほとんど作文の技術を教わりません(アメリカにはライティングスクールというものがあるようですが)。

 作家の「文章読本」は、創作技術と芸術性に偏りすぎる。

 ビジネス系の文章術は「達意」しか目標としていないので、人の心を動かす文章はなかなか書けない。

 結局、多くの人は、自己流で「国語力」を磨くしかない。

 そこに、元編集者が「国語力を教えます」と手を挙げたわけです。

『22歳からの国語力』は、「社会人のための本当に役に立つ言語スキル」というものにチャレンジした貴重な一冊と言えます。
by okuno0904 | 2010-04-28 11:18 | オモロイ本を読んだ! | Comments(0)

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