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今さらかよ、って言われそうですけど、子供を万博公園で遊ばせる
ついでに行こうと思ってたら、毎週毎週、雨でね…… 
らちがあかんので先日一人で行ってきました。
会期は6/14(火)までだから、今週末がラストチャンスです。
展示はボリュームありますから、半日は要りますよ。

僕も梅棹さんの本は好きで、とても影響を受けているし、
読者の皆さんもそうじゃないでしょうか――いや、
間違いなくそうですよね!

僕は、明らかに影響下にあるノート本だけでなくて、
『知的生産ワークアウト』っていう本も書きましたから、
学んだことを胸の中に秘めておくだけでは、
ちょっとずるいんじゃないか、と。
そんなわけで、以下、写真自慢(DP2sで撮影)と感想です。
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●来場者の年齢層は高め。たまに若い人も

会場ではメモを持った人がたくさんいました。
モレスキンとか、A6ノートとか、
なんでも書いて忘れることで、
頭がスッキリする、と梅棹氏の本にもありましたね。

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●情報カードを使い出す前に使っていたフィールドノート

この光景、どこかで見たなあと思ったら、
うちにある古いノートと同じです。
これはたしか戦後間もない頃の調査だから
紙の保存性ってすごい。
スケッチをたくさん残しているのが印象的でした。
写真だと現像するまでわからないからです。

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●旅の記録は「貼り混ぜ帳」だった

ライフログノートと同じ方式で、
酒のラベルを集めているのをみて驚きました。
情報カードを使うようになっても、
ノートを使うことはあったようです。
ミュージアムトークでは、親しかった方が
京都の梅棹邸で朝まで飲んだ話なんかを披露していました。

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●ローマ字日記も付ければエスペラント語も使う合理主義者

「今日はとても寒い」、こんなことでも
書いておくと何かの役に立つだろう、と。
無駄を恐れないというポリシーが垣間見えます。

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●タイプライターを使ってローマ字で書かれた情報カード

古びていい風合いになってます。
僕はカナ文字タイプライターを
ヤフオクで探しているのですが
なかなか出会えません。
見つけたら教えて下さい。

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●名刺もコピーしてカード化。

死んだら「死亡」。なんという合理性。
梅棹氏の仕事からは、因習や情緒に縛られているせいで
まかり通っている非合理なことを、
あえて無視して、作り替えてみせる、
そんな思想を感じます。

誰かが矢面に立って無茶をしないと、
何も変わらないんだ、という意志を。
『文明の生態史観』は内容も大胆不敵でしたし、
あの文体に、衝撃を受けた人も多かったと聞きます。

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●執筆内容もカードでストック

これぞ情報カード、という一枚。
単純に、貯まったり、使い切ったりすると
人間は快を感じる。
机上の空論的なシステムでなく、
非常に人間の生理にあったシステムと言えます。

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●知ることは楽しい。ただそれだけ

梅棹氏があれだけの業績を残せた原因は、
これでしょう――「知的貪欲さ」。

ふつうなら、
これは男のやることじゃない
これは自分の専門じゃない、
これは今の仕事から外れている
これはアカデミックの世界でやらなくてもいい
ということまで手を出し、知りたがり、
無理矢理に何かを学んでしまう。

展示で、
「『妻不要論』という文章を発表したら、
批判の手紙が大量に来て驚いた。
人によってこんなに感じることが違うとは。
私にとってひとつの発見だった」
こんなコメントが引用されていたので、
全集の「妻不要論」を読んでみました。

面白い、面白いけど、こりゃ絶対、怒る人出てくるよ!
同時に思いました。
やっぱり天才ってチャーミングなんだなあ。

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●展示の感想は情報カードに。こうして思想は受け継がれていく

小学生も「そういえば昔、カードの束を見たなあ」と思って、
未来の情報端末から手書きカードに変えたりするんでしょうか?

僕も「知的貪欲さ」を片時も忘れないよう、
精進していきます。
by okuno0904 | 2011-06-10 15:58

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