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『「いつもの自分」トレーニング』(森川陽太郎/ダイヤモンド社)のメンタル論が熱い_b0177514_14184294.jpg


集中力ないなあ……と僕なんかはいつも思っていて、こういう文章を入力していてもすぐにネット掲示板を見たりしたくなってしまう。

でも、面白い本を呼んでいるときなんかは、飯も食べないで、風呂の中でも読んでいる。だから、「この集中力をあの仕事に使えたら!」なんて、いつも思っているわけです。

集中力だけではありません。友達に話すように講演でしゃべったり、深夜に集中して原稿を書いているようなテンションで昼間に机に向かったりすることができたら、どんなに良くなるでしょうか。

そんな、自分の集中力やテンション、気持ちを上手くコントロールするための「エクササイズ」を紹介しているのが本書です。

僕は、セルフコントロールみたいなことに、そこそこ興味があって、わりと読んでいる方なのですが、正直、どれも似たようなことが書いてあって閉口します。自分を信じろ、他人を気にするな、成功ビジョンをイメージしろ、などなど。誰かの受け売りみたいで、うんざりする。

ところが、この本はそんなよくあるメンタル本ではない。読んでみるまでわからなかったのですが、この本は「オリジナルな思想」で書かれているのです。

その理由は、まず紹介されているトレーニングが、「ありそうでなかったもの」であること。

・通勤中、ずっと片手をグーにしたままにする
・3分間10円玉を立て続ける
・打ち合わせ中、わざとペンを床に落とす

こういった、その手があったか! と言いたくなるような方法が多い。

たとえば三つ目の「ペンを落とす」というのは、相手のペースにはまらないようにする一種の切り替えテクです。訪問先でわざとトイレに行ったりということは、僕もよくするのですが、こんな違和感なく、自然に出来る方法があったんだなあ、と唸らされました。地味だけどすごいアイデアです。

また、後半のメンタル論「120%の幻想を捨てよう」も読ませますね。ここは森川さんが海外でサッカー選手になって、引退し、現在にいたるまでの、体験でつかんだメンタル論です。

特に面白いのは、メンタルのいろんな説、たとえば「ポジティブに考えろ」「一生懸命やればOK」といったことに反論していくところです。

単なる「別のノウハウ」ではなく、たたみかけるように展開される反論、持論に、本から風圧のようなものを感じました。

「一冊の本は今の状況、今の人間、今の説への異議申立て(オブジェクション)でなければならない」

というのは、僕が何かで読んで心に響いた文句ですが、まさにこの本は、メンタルの一般論への「異議申し立て」になっている。だから読んでいて役に立つだけでなく、スカッとする。エンターたエイメントになっているのでしょう。

弱さを否定するのではなく、弱さも認めながらトータルで前に進む、というメッセージには、共感しました。僕も、メンタルの俗説に「やめてくれ」を思ってたクチだからです。弱さも大事な自分の一部ということを忘れてはならないのでしょう。

さて、実は著者の森川さんは、去年、東京のパーティーで出会って友達になった人です。著者や作家は年上の人が多いのでどうしても「メシ食いに行こうよ」てな感じにはなりにくいんですが、森川さんは同じ歳ということもあって、すぐ打ち解けました。知識・経験の分野が僕とまったく違うので、いつもいい刺激をもらっています。

出る前から何度か本の話なんかはして、大枠は知っていたと思っていたつもりでした。が、いざ刊行されて読み終ったときには、「すごい人だったんだな、森ちゃん」とひとりごとをいってしまいました。
by okuno0904 | 2011-03-11 14:20 | オモロイ本を読んだ!

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